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夫婦別姓、戸籍は? 子供は?メリットデメリットを徹底解説!

    日本の法律では、結婚すると夫婦は同じ姓を持つ必要があります。そして、多くの場合、姓を変えるのは女性……。しかし、最近は“結婚後も夫婦で生まれの姓を名乗り続ける”「夫婦別姓」が注目を集めています。世論調査でも別姓導入に賛同する割合が増えてきているのです。

    でも、夫婦別姓にしたらどんなメリットがあるの? 子供の戸籍上、問題は? そんな夫婦別姓の気になる戸籍制度についてまとめてみました!

    そもそも、夫婦別姓ってどんな戸籍制度なの!?

    読んで字のごとく、「夫婦で別の姓を名乗る」という意味を持つことは理解できるかと思われますが、実は夫婦別姓には、3種類があるのです。

    1、事実婚

    1つ目は、いわゆる「事実婚」と呼ばれるもの。お互いに婚姻の意思を持ちながら、籍は入れず、共同生活を行なっている形のことを指します。別姓を望む夫婦の場合、現在はまだ法制化されていないので、この事実婚が事実上唯一の方法になっています。

    ちなみに婚姻届は出していないものの、日常生活においては夫婦に限りなく近い関係のため「同棲」とは別物と捉えられています。

    2.選択的夫婦別氏制度

    2つ目は、「選択的夫婦別氏制度」と呼ばれるもの。現在の民法では、結婚に際して、夫婦の姓を統一しなければならないと定められています。

    対して、「選択的夫婦別氏制度」は、夫婦が望む場合には、結婚後もお互いが結婚前の姓を持つことを認める制度です。まだ法律では定められていませんが、制定への期待も大きく、話題となっている考え。

    ちなみに、一般的には「夫婦別姓」というと、後者の「選択的夫婦別氏制度」を指すことが多いです。※ 「選択的夫婦別姓制度」とも呼ばれますが、民法上では「姓・名字」を「氏」ということから「選択的夫婦別氏制度」と紹介しています。

    3、外国人との結婚

    外国人と結婚した場合、相手には戸籍がないので、基本的には別姓になります。ただし戸籍の届け出をすれば同姓も可能です。

    戸籍上どんなルールがあるの? 夫婦別姓をとりまく法律

    夫婦別姓に関する法律を説明する前に、そもそも日本において氏姓制度はどのような形で始まったのか、簡単に振り返ってみましょう。

    氏姓制度の始まりは、約1,500年前から!

    氏姓制度が初めて日本に登場したのは、所説ありますが、古くは飛鳥時代(4~6世紀)と言われています。各地の権力者が、自分の役職・立場を権威を表す意味合いとして名乗り始めたのが由来。これを「かばね」と呼び、「姓」の始まりとされています。

    現在とほぼ同じような形の氏姓制度となったのは、明治時代に入ってから。1870年(明治3年)に、平民にも姓の使用許可が降り、国民の多くが名乗るようになりました。そして、1898年(明治31年)に民法により、夫婦同姓が規定され、現在まで受け継がれているのです。

    夫婦同姓から夫婦別姓容認への動き

    改めて現在の民法を確認すると、「結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません」と記載されています。

    多くの場合、女性が性を変更する形となる日本で、近年では女性の社会進出に伴い、改氏による社会的な不便・不利益を指摘されたことを背景に、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見が増加してきています。

    平成3年に身分法小委員会において、婚姻制度の見直し審議が行なわれ、平成8年には法制審議会が民法の一部をか改正する法律案要綱を答申。平成に入り、夫婦別姓の話題は、大きく注目を集めるようになってきたのです。

    難しい話はともかく、気になる夫婦別姓のメリット・デメリット!

    ここまで、“少し堅苦しい(笑)” 夫婦別姓にまつわる戸籍上の制度や歴史についてまとめてきました。読者の皆さんの中には、「そんなことよりも、良い点・悪い点って何か、早く教えてよ!」という方も多くいらっしゃることでしょう。

    ということで、ここからはざっくりと夫婦別姓のメリット・デメリット、そして将来子供が生まれたときの影響についてご説明いたします。

    メリット1.夫婦同姓の場合に必要な、各種行政手続きが不要となる

    想像するだけで大変そうな、結婚で必要となる各行政手続き。運転免許証からパスポート、銀行口座、保険証、クレジットカード……など。

    こういった夫婦同姓の場合必要となる手続きを行なわなくてよいのは、大きなメリット。今では女性も積極的に働く時代。忙しく働く“バリキャリ系女性”からするとありがたい話かもしれませんね。

    メリット2.〇〇さん結婚したんだ~! と周囲にバレずに済む

    多くの女性の場合「姓が変わる = 結婚した」と思われてしまうもの。結婚したと周囲に知れ渡れば、お世話になっている方へ挨拶にまわる必要もあるでしょうし、結婚祝いやご祝儀のお返しとして内祝いを準備するのも、手間がかかります。

    もちろん、お気持ちはありがたいところですが、忙しい女性にとっては、めんどくさかったりしますよね。そんな場合、夫婦別姓にしておくと、結婚したことがあまりバレずに済むことでしょう。「個人情報の保護」という観点からもメリットがあると言えそうです。

    メリット3.旦那の家に“嫁ぐ”という考えがなくなる

    昔から女性は「男性の家に嫁ぐ」「お嫁に行く」と結婚を表現されることが多いですよね。こうした「夫の家に入る」という意識は、少なからずとも男性の方が上位(偉い)という認識に繋がっている部分もあるかと思います。

    男尊女卑なんて、時代錯誤な考えですが、女性の社会進出・男女平等が当たり前の社会となった今、「嫁ぐ」という感覚は古いのかもしれません。夫婦別姓の反対派のなかには残念ながらまだ古い考えにしばられている人が多いというのが現実なのもそれを裏付けているでしょう。

    デメリット1.夫婦同姓の場合、適用される優遇措置が受けられなくなる

    あくまで、現在の法律をベースに考えると、夫婦別姓(事実婚)を選択した場合、夫婦同姓で受けることができる「所得税の配偶者控除」「給与の扶養家族手当」等が適用されません。将来の年金にも影響はあります。直接、金銭に関わる内容なので、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。

    デメリット2.母と父、親と子の名字がバラバラになってしまう

    夫婦別姓にした場合、夫婦で名字が異なるのはお分かりかと思いますが、将来、お子さんが生まれたとき、親と子で名字が異なってしまう可能性があります。

    子供は婚外子(非摘出子)となってしまうので、一人目の子供の親権は母親になってしまうのです。つまり、第一子の姓は母親のもの。家族で姓がバラバラになってしまうのは、法律上、避けられません。また、心情的にも疎外感を感じてしまうかもしれませんね。

    デメリット3.離婚率が高まってしまう!?

    これは明確な事実はないですが、(笑)姓が変わらず、各種行政手続きも行なっていないので、離婚(別れる)への心理的ハードルが低くなるのではないかと言われています。

    そもそも、「離婚 = 悪いこと」という価値観自体、最近では変わりつつあるので、デメリットかというと……個々人の問題ですが、離婚はしやすくなるのではないでしょうか。

    夫婦間が修復不可能な関係にまでおちいっていても同姓であることが縛りになることもあるでしょうから一概に悪いともいえないですね。別姓だと不倫が増えるのでは?という考えもあるようですが、こちらも具体的根拠はないのでなんともいえません。

    夫婦別姓だと同氏夫婦と何が違う?

    家族であることの説明が面倒

    夫婦別姓と同氏夫婦の大きな違いは、ズバリ!「家族の中に別の名字の人がいる」ということです。「別姓なんだから、当たり前でしょ~」と思うかもしれませんが、日常生活を過ごす上で不便を感じる点でもあります。

    例えば、病気で入院したときに家族が書く同意書ですが、名字が違う事で、本当に家族なのか説明しなければならない可能性があります。子供が生まれたとすれば、保護者欄に名字が違う親の名前を記入するのも、混乱を招く原因になります。

    夫婦で出席する行事で、夫の名字や妻の名字で呼ばれたときにも「名字が違うので……」ということになります。その場限りの付き合いなら、わざわざ説明する必要もないかと思いますが、今後も会う相手なら、最初から説明しておかないと、後々訂正が面倒になります。

    自分のスタイルを変えずに済む

    名字が変わると、今まで生きてきた人生を失ったように感じて、落ち込んでしまう人もいます。同氏夫婦なら、今までの自分という存在をそのまま保ったまま、結婚生活を送ることができます。

    結婚後に「〇〇さんの奥さん」と呼ばれることに抵抗がある人も、別姓なら、個々の名字で呼んでもらえるので、自分という存在に自信を持つことができます。

    仕事の上で、取引先と長い付き合いだったり、重要なポジションにいる場合は、名字が変わると別の人に担当が変わってしまったのかと思われ、信用を失う可能性もありますよね。名字が変わらなければ、余計な心配をせずに、仕事をこなしていく事ができます。

    周囲の反応もさまざま

    結婚すると名字が変わって当たり前と思っている世代や、多様なスタイルに抵抗がある人にとっては、夫婦別姓を選ぶ人は「変わっている人」「考えが合わない人」だと思われることがあります。

    夫婦別姓を選ぶ人が少ない段階では、ある程度の陰口や偏見もあると思っておいた方がいいでしょう。逆に、夫婦別姓を選ぶことに「自分を持っていてかっこいい」「新しい考え方でステキ」と感じてくれる人もいます。

    名字を変えるわずらわしさやストレスを避けるために別姓を選んだのに、そのことが新しい問題になってしまっては残念ですよね。夫婦別姓か同氏夫婦を選ぶ時の最大のポイントは、自分の考えをしっかりと持つことです。

    その場の雰囲気に流されて、勢いで別姓にしても後から後悔してしまいますし、逆に「別姓にして何か言われるのは……」と同氏にしても、自分らしく生きられないということになってしまいます。メリットやデメリットだけではなく、今後の人生を想像しながら考えてみると良いですよ。

    海外の夫婦別姓への動きはどうなの? 各国の状況とは

    日本ではかれこれ夫婦別姓が騒がれはじめ、約20年が経ちますが、では日本以外の国では「結婚後の姓」についてどのようなルール・動きがあるのでしょうか? 主要国の状況をまとめてみました。

    アメリカの場合

    アメリカでは、基本的に夫婦別姓の選択が可能です。しかし、一般的には女性が結婚すると夫の姓に変えることが多いようです。また、夫の姓だけでなく、複合姓というものもよく利用されます。

    複合姓とはキリスト教徒の“ミドルネーム”に相当する箇所。その部分に自分の姓を使用したり、自分の姓と夫の姓をハイフンで繋げて名乗る方法があります。例えば、テニスプレーヤーの伊達公子さんが結婚後に「Kimiko Date-Krumm」と名乗る、といった形です。

    日本でも最近はよく見受けられますが、結婚後も仕事の上では、旧姓を使用し続けることがあります。銀行や社会保障、納税などは「番号(Social Security Number)」が使用されるので、旧姓でも仕事・生活に支障はないようです。

    ヨーロッパの場合

    ヨーロッパの中でも、イギリス・オーストラリア・カナダ・ドイツでは夫婦別姓の選択が可能。しかし、国民の多くはアメリカと同様に夫婦同姓を採用するケースが一般的なようです。イタリアでは、原則として夫婦別姓で結婚した女性は夫の姓を加えた名前を名乗ります。

    また、日本とは大きく違う国として挙げられるのがフランス・スウェーデン。この二国では、事実婚や婚外子率も高く、むしろ結婚する男女は減少傾向。それまでの結婚制度自体が薄れてきていると言われています。

    アジア・中東の場合

    中国、韓国、エジプト、サウジアラビアでは女性の結婚後も夫婦同姓は認められず、原則的に夫婦別姓。法的には夫婦同姓は可能な地域もありますが、基本的には夫婦別姓が一般的という、日本とは真逆の状況。

    夫婦別姓にした場合、戸籍上、子供はどうなってしまうのか?

    結婚し、夫婦として過ごす時間が長くなると、当然子供ができることもあるでしょう。では、夫婦別姓の場合、子供ができるとどのような影響があるのでしょうか。

    第一子の親権は自動的に母親になる!

    先ほども少し触れましたが、夫婦別姓の場合、第一子は自動的に母親の戸籍に入ることとなります。これは、夫婦が認知したとしても立場上、婚外子(非摘出子)となるため。

    (※ 民法の改正により、非摘出子でも法律上の不利益はありません)第一子は母親の姓を名乗ることとなるのです。ただし、戸籍が違っていても子供の認知届けを出すことで、父親の欄には夫の名前が記入されます。

    親権がないと、子供が未成年のとき裁判をおこしたり、保険の契約・解約時の承諾ができません。しかし、夫婦のどちらかは親権をもっているはずなので、お互いに承認が得られれば、問題なく行なうことができます。

    また、親権をもっていない場合、お子さんの銀行口座を開設することはできません。仮に委任状を持参したとしても、親権をもっている側の姓でしか取り行なうことができないのです。その他行政手続きで夫婦同姓に比べると手間がかかることが多いのは、どうしても否めない点です。

    考えられる子供への影響

    夫婦別姓で子供を育てるとなると、一番に気になるのが「子供が大きくなったとき名前が違うことに疑問を持つのではないか」ということ。年齢が大きくなるにつれて、戸惑いを感じることもあるかと思います。

    疑問や戸惑いを持つことはしょうがないので、別姓であることを理解してもらうために、親子でコミュニケーションをしっかり行ない、愛情を注ぐことが重要だと思います。

    また、子供は夫婦別姓であることを理解してくれたとしても、学校などで友達やPTA内で話題になることはあるかもしれません。

    認知はされてきていますが、まだまだ少数派の夫婦別姓。「〇〇君のお父さんはなんで名字が違うのー?」と子供だからこその無邪気で率直な言葉を受け、最悪の場合いじめの対象になることもあるかもしれません。

    避けて通るのではなく、積極的に話をして、少しずつ理解してもらえるように努めてみましょう。いじめにまで発展してしまっている場合は親子間の話し合いでは解決できないので、教育委員会なり学校なりに相談しましょう。

    最後に相続についての影響。今後、夫婦別姓が法的に認められ、子供に関する法律も変わる可能性は多いにありますが、現時点では非摘出子の場合、扶養家族手当はもらえます。が、親の財産を相続する権利が摘出子の半分になるという問題があります。

    このような問題を解決するには、あらかじめ「遺言書」を作成する、父親が「認知届」を役所に提出するという方法があります。「国際的には夫婦別姓への動きが強まり、日本もその流れに乗る可能性はありますが、法的な観点の子供への影響は、十分に考慮しておくべきでしょう。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか? 夫婦別姓の戸籍制度・戸籍上の法律から、メリット・デメリット、そして子供への影響をまとめてきました。記事にあるように、良い点だけではない夫婦別姓。

    ただ、新しい夫婦の在り方として、今後も注目を集めることでしょう。正しい情報を正しく理解し、皆さんがご結婚される際のひとつの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか!

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