鬼灯(ホオズキ)の花言葉って?その由来とは?平安時代から続く歴史も紹介!
2018.02.09
鬼灯(ホオズキ)という花について、名前は聞いたことがある、もしくは名前を聞いたことはないが、実物は見たことがある、という人もいるでしょう。
この鬼灯(ホオズキ)、そもそも漢字も珍しい感がしますが、花言葉についても一風変っているようです。鬼灯をお盆の時期に飾る風習があったり、歴史的な文学作品に登場したりと、日本文化と古くから繋がりのある鬼灯、そんな鬼灯の花言葉の由来や歴史を今回は見ていきましょう。
懐かしい風景に佇む鬼灯
鬼灯ってどんな花?
鬼灯というと、ふっくらとした赤い球状のものを思い浮かべませんか?鬼灯の象徴ともいえるものですが、実はあれは鬼灯の実の部分。膨らんだ赤い皮の中に丸い実がついています。鬼灯の花は白や黄色など、一枚の花弁で可愛らしい可憐な花を咲かせます。
鬼灯は手入れの手間がさほどかからず、初心者でも栽培しやすい植物といわれています。古くから親しまれてきた鬼灯は日本の風景に欠かせないものの一つだと言えるでしょう。
開花時期は6月から7月にかけて。初夏に花を咲かせ、それから袋状の実が育ち赤く色づき始め、8月頃にはあの見慣れた真っ赤な鬼灯を楽しむことが出来ます。観賞期と言われる時期ですね。
秋田県の特産品でもある鬼灯。日本各地でもほおずき市が開催されているそうです。鬼灯の実の鮮やかな色づきは、本格的な夏の到来を思わせる風情ある赤なのかもしれません。
鬼灯と歴史
鬼灯が登場するもっとも古い記録は「古事記」。鬼灯がいかに昔から私たちの身近にあったのかを感じることができますね。古事記の中では、ヤマタノオロチの目の赤さを表す例えとして鬼灯が用いられているそうです。神話の時代にも登場する鬼灯に神聖さも感じます。
平安時代には、「本草和名」という日本に現存する最も古い薬物辞典にも登場しています。そこでは鬼灯は「酸漿」(さんしょう)という名前で書かれているそうです。鬼灯が薬草として使われていたということですね。鬼灯との関わりの長い歴史を感じます。
食用と観賞用の鬼灯の違い
鬼灯には食用にされるものと、食用ではない観賞用のものがあります。全く違う種類のもので、日本で私たちに馴染みのあるのは観賞用の鬼灯です。食用の鬼灯は主にヨーロッパ地方で親しまれているそうです。食用の鬼灯の実は袋状の中のオレンジ色に輝く丸いもので、酸味のある甘さが特徴とされています。
日本では東北地方などで特産品にもなっているそうです。ビタミンAや鉄分も含まれています。食用の鬼灯は「ストロベリートマト」とも呼ばれるそうで、その名前からも何となく味わいをイメージできますね。サラダにしたり砂糖漬けにしてジャムにしたりそのまま食べたりと、親しまれています。
私たちの見慣れた観賞用の鬼灯は赤い袋の中に赤く丸いミニトマトのような形の実ができますが、食べることはできません。毒性もあり刺激が強く、苦いのだそうです。観賞用の鬼灯は、鉢植え、ドライフラワーなどでも人気があるそうで、自分で栽培して楽しむことも出来ます。
鬼灯には毒がある?
観賞用の鬼灯には毒性があります。株全体にわたり微量のアルカロイドという成分が含まれており、腹痛を引き起こしたり、特に妊娠中の女性には流産の危険も伴うそうなので禁物なのだそうです。江戸時代には堕胎薬として使われることもあったそうです。
鬼灯はナス科の植物で、一般にナス科の植物はアルカロイドを含むそうです。ナス科といえば、ナス、ピーマン、などがありますが、近年では食用にされるナスなどの植物は、品種改良でアルカロイドは含まないようにされているのだそうです。
鬼灯の持つ効能とは
毒性も持つ鬼灯ですが、漢方薬の原料としても使われています。鬼灯の根の部分は、酸漿根(さんしょうこん)と呼ばれる生薬になっています。前述の「本草和名」に使われていた名前のままですね。主に咳止め、冷え性の改善、利尿作用、解熱などの効果が期待できるとされています。
現在でも、冷え性の対策として、鬼灯の根を乾燥させて、煎じて飲む昔からの習慣が続いてる地域もあるそうです。遥か昔の平安時代には、鎮静剤としても使われていたというのですから驚きですね。鬼灯は古くから、私たちの祖先の日々の生活と関わって来ていたということを感じます。
古くから生薬としてなど身近に利用されていた鬼灯、昔は農家や民家の庭の周りにも多く見られたという鬼灯。それらの風景を想像すると、なんだか懐かしさを思い起こさせてくれるような不思議な感覚になります。
鬼灯の名前の由来は?
諸説ある名前の由来
鬼灯の名前の由来には諸説あるのですが、主に言われているものとして、鬼灯のあの赤い提灯のような実から連想されるものが多いようです。鬼灯は英語名ではChinese lantern plantや、Ground cherryなど、提灯やさくらんぼのような実のことを表しています。
また、先ほどの古事記に書かれていた鬼灯は、「アカカガチ」という名前で表されているそうで、古い漢字で表すと、カガチは「「輝血」と書くそうです。輝く血のように赤いという意味なのでしょうか。鬼灯の色は人の心に印象強く残る赤色なのですね。
他にも、ほおずきの語源として、「ほふつき」や「ほほつき」が変化したと言われることもあります。「ほふつき」は子供が鬼灯の実を膨らませて遊ぶ様であったり、「ほほつき」は「ほほ」と呼ばれるカメムシのような虫がつきやすいから、などが考えられています。言葉の変化を得ながら、受け継がれてきた名前なのかもしれません。
鬼灯の花言葉
花言葉の由来となった鬼灯の特徴
鬼灯の花言葉は「欺瞞」「偽り」「半信半疑」などがあります。大きく膨らんだ袋を期待して開けると中には小さな実、またその実は苦く種だらけだった、というような、その姿からだまされた、あざむかれた、と感じる人が多かったのでしょうか。または小さな実を大きく見せるよう偽っているように見えたのでしょうか。
毒性を持ちながらも、生薬にもなる鬼灯に、本当は身体にいいものなのか悪いものなのか、半信半疑になってしまうという気持ちも理解できるような気がします。鬼灯の花言葉は、何だかどれも鬼灯の特徴を思わせる花言葉のようだとは思いませんか?
また、あの花のような果実のような、赤い袋の中には一体何が入っているのだろう?と思わせるような不思議な魅力を持っているのも鬼灯の特徴の一つかもしれません。
日本語の花言葉と外国語での花言葉
英語で鬼灯はGround cherryと紹介しましたが、これは地面のさくらぼという意味だそうで、こちらでも花言葉は「ごまかし」。さくらんぼだと思ったら違った、というやはり何かに姿を似せている、ごまかされた、というイメージが強かったのでしょうか。
ちなみに、鬼灯の呼び名としては他には「皮だけのトマト」という意味のBusk tomatoというものがあったり、鬼灯の属性を表すPhysalis(フィサリス)はギリシャ語を語源とし、その意味は「膨らんだもの」という意味なのだそうです。
鬼灯の花言葉には他にも「心の平安」というものもあります。もしかしたら鬼灯の鎮静剤としての役割から来ているのでしょうか?もしくは白くて可憐な花を見て癒された、または子ども達が鬼灯の実で遊ぶ様子を微笑ましく眺めた、ということもあるかもしれませんね。
鬼灯の漢字を表す赤い色
頬の赤さを思わせた鬼灯
鬼灯の赤い実を、人の頬の赤さに例えているとも言われています。鬼灯の名前の由来ともされている子供が鬼灯で遊ぶ様子、頬が赤くなるくらいにいっぱいに膨らませている子供の姿は何とも微笑ましいですよね。
また、鬼灯の花言葉の中には「私を誘ってください」というものもあります。何となく、頬を赤らめながら恥ずかしがっている女性の顔を思い浮かべることが出来ますね。奥ゆかしいからこそ顔が赤くなる、そんな色を鬼灯の赤さで象徴しているのかもしれません。
鬼灯の赤は提灯の灯り?
ほおずきは漢字で「鬼灯」。お盆の時期には鬼灯を仏前に飾る地方もあるそうで、提灯に灯が灯った様子に似ている鬼灯を、お盆の時期に無くなった人が帰って来るときの目印にするために飾るのだとも言われているそうです。
鬼灯の灯りを頼りにご先祖が戻り、鬼灯の実は提灯のように中が空洞になっているので、お盆に帰ってきたご先祖の魂はその中に入り、また空に帰っていくのだとも言われています。色々な風習や習わしには、それぞれに意味があるのだなと思わせてくれます。
真っ赤に色づく鬼灯はお盆の時期でもあり、鬼灯が色づいたのを見て、亡くなった大切な人を思い出して偲ぶきっかけになっていたのかもしれませんね。そう思うと、鬼灯の赤さが、温かいロウソクの火のような、神聖な色のようにも感じてきます。
花言葉の由来は身近にあったから?
鬼灯の花言葉の「欺瞞」「偽り」「半信半疑」「私を誘ってください」「心の平安」。それらの花言葉から、鬼灯を薬用や堕胎薬として使っていた祖先や、子どもの遊びものにできるくらいに鬼灯が身近にあった時代に思いを馳せることができます。
今では鬼灯の実で遊ぶ子供の姿を見かけることはあまりありませんが、鬼灯を見て何となく懐かしい気持ちになるのは、そういった時代の遺伝子がずっと私たちに受け継がれているからかもしれませんね。
まとめ
江戸時代から続く浅草寺でのほおずき市。多くの観光客や鬼灯を求める多くの人で賑わうそうです。薬用としても使われていた鬼灯、今でも健康を願う人の祈りが込められているのかもしれません。鮮やかな赤で夏を彩る、夏の風物詩とも言える鬼灯は、生活の仕様が変わった現代でも、昔から私たちに寄り添ってきているのだということを感じさせてくれます。