モラハラとパワハラは違う!?定義や特徴とは?被害にあったときの対処法も
2020.10.28
メディアなどで何気なく耳にする、「〇〇ハラスメント」という言葉。今ではおびただしい種類が存在し、全部覚えることが難しいほどですね。
その中でも特に知られている「モラハラ」と「パワハラ」の違いについて、またそれぞれの対処法になどを、この記事で詳しく紹介していきます。
モラハラとパワハラの違い
いざ聞かれてみると、モラハラとパワハラの定義とは何か?ということに関しては、意外と曖昧になっている点が多いのではないでしょうか?
それぞれの定義を紹介した上で、マタハラやセクハラも交えて違いについて説明していきます。
モラハラの定義
モラハラは、モラルハラスメントの略。モラル(moral)という単語は道徳や倫理という意味で、それらに対するハラスメント(harassment)。
ハラスメントは弱い物に対して行われる嫌がらせを意味しており、モラハラを一言でいうと「倫理や道徳に反する嫌がらせ」という定義になります。
上司から部下という上下関係がある場合だけでなく、同僚同士でも起こりうることが特徴です。
パワハラの定義
パワハラは、パワーハラスメントの略です。力(power)によるハラスメント。例えば職場で起きるパワハラは「地位や立場を利用して、労働者に対し嫌がらせや限度を超えた叱責を行うこと」を指します。
この場合、上の立場の人間が下の立場の相手に対し行うことが特徴となります。ここが、同僚同士の間でも起きるモラハラとの違いの1つです。
女性ならぜひ知っておきたい!セクハラ、マタハラの定義
女性が被害に遭いやすいセクハラは、セクシャルハラスメントの略。主に男性から女性に対して行われる性的な嫌がらせのことを指します。
例を挙げると、胸やお尻などを触る。女性が不快になるような性的発言、体の部位などについての発言(例:「今日も良いお尻だね」「巨乳だね。エロいね」などといったこと)などがセクハラに該当します。
また、妊娠している女性社員に対して職場で行われるマタハラ=マタニティハラスメントも、近年問題になりつつあります。
マタハラは、妊娠や出産をきっかけに、嫌がらせや不当解雇などが行われること。また、職場から自主退職を強要されたりする事例などが挙げられます。
パワハラとなる言動は?
では、どのような言動がパワハラに該当するのでしょうか?先述の定義を踏まえて、具体例を6つ紹介します。身に覚えがあるなら、対策や専門機関への相談を視野に入れましょう。
声を荒げて怒鳴る
相手が恐怖を覚えるような怒鳴り声を上げ罵詈雑言を浴びせることは、れっきとしたパワハラに該当します。
ましてや、相手の性格や人格を否定するようなことまで言い続けるなどと言ったことは言語道断。ミスをしたことや仕事態度を注意するのは、相手の「行為」に対し叱ることになります。
しかし、「だからお前はダメなんだ」「これだからゆとり世代は……」と、仕事を超えた部分を否定するなどというのは、上司としてあるまじき行為だと言えます。
物に当たることで恐怖心を植え付ける
職場で従業員を叱る時、机を思い切り叩く。デスクを蹴る。そのようなことによって大きな物音をたてながら威圧するような行為もパワハラです。
怒りの矛先がはっきりしなくとも、不機嫌そうにドアを思い切りしめる、物を乱暴に置くなど、「自分は怒っている」とアピールするかのように物に当たることも含まれます。
物を投げつけてくる
相手に対し怒りに任せて、文房具や書類を投げつける。これもパワハラです。陰湿なケースだと、相手に当たらないように物を投げて、わざと的を外し脅すことも。
さらに、ゴミ箱など中身が散らかるものや、片付けが大変な物を選んで投げつけるような人間も時に存在します。
このようなパワハラは、時に危険。投げつけるものが固いものだったり当たり所が悪かったりすると、被害者がけがを負う可能性も少なからずあるからです。
長時間にわたって叱責してくる
相手を必要以上に、しかも長時間にわたり叱責し続ける。これも、パワハラとみなされる可能性があります。
そしてこの場合、加害者が一方的に叱り続けて、相手がひたすら謝る(もしくは黙ってじっと耐える)といった構図になることがほとんどです。
否定的な言葉をくり返しぶつけたり、「今」関係のない話を蒸し返してまで叱ったり。これらの行為は、相手の時間と自己肯定感をごっそり奪います。
さらに、仕事や家事などに大きな支障をきたすことも珍しくありません。
人格否定や相手を馬鹿にしたような言い方を意図的にする
知らず知らずのうちに、些細な一言で相手を傷つけてしまうことは誰しもあること。しかしパワハラの場合、「意図的に相手を馬鹿にする」「人前で激しく人格否定をする」といったことなどが起こります。
多くの場合、まわりの空気が凍るぐらい怒鳴りつけながら、また机などを強く叩きながら罵声を浴びせるケースが多いです。
そのため、相手の自尊心を奪い、非常に強い精神的苦痛を与えます。
殴る、叩く、蹴るなどの身体的暴力がある
時々メディアなどで取り上げられる、職場内で起きた暴力行為の映像を見たことがあるでしょうか?防犯カメラに映っていたり、内部の人間がこっそりスマホで撮影していたり。
最近は、さまざまな形で発覚しています。社内にて男性同士の間に起こることが多い、身体的暴力。怒鳴りながら相手の頭を叩く、胸倉を掴む、ひどい場合は殴る・蹴るなどの激しいものに発展することも。
職場と家庭で異なるモラハラな言動
職場で行われるモラハラと家庭内のものは、関係や立場も違えば質も違います。また、カップル同士の間で起こるモラハラについても紹介しています。
職場でのモラハラ
- 人前で叱責・あるいは侮辱する
- 暴言や人格否定
- 本人に分かるように陰口・嫌味を言う
- 無視をする・空気のように扱う
- わざと仕事をさせない
- 逆に、多すぎる仕事を1人に振る
- 私生活に立ち入る・プライベートを探り入れようとする
- 業務連絡をしない・その人だけ誘わない
以上、職場で起こるモラハラの一例です。された側は心身共に疲弊するだけでなく、場合によっては業務自体に支障をきたすことも。
家庭内でのモラハラ
- 他の家族に悪口を吹き込み、孤立させる
- バカにしたような言い方や見下した態度
- 常に不機嫌な姿をアピールする
- 舌打ちや無視をする
- 気に入らないことがあると暴言を吐く
- 仕事や家事、育児について否定的なことを言う
- わざと大きな音をたてる
- 過去の失敗を蒸し返す・またはいつまでも責め続ける
家庭内でも起こりうるモラハラ。家庭というものは、本来なら心休まる場所であるはず。モラハラが横行していると、夫婦関係も子どもの発育や精神状態にも悪影響を及ぼします。
恋人同士でのモラハラ
恋人から暴力を振るわれる「デートDV」という言葉があるように、恋人間にもモラハラが存在するということは知っておきましょう(専用の相談窓口もあります)。
「俺の方が上」「俺がいつも正しい」「俺の言うことを絶対に聞け」などと、自分の常識やマイルールを押し付けて、恋人をコントロールします。
それらに抵抗すると、容赦なく暴言を吐いたり見下したような態度をとってきたり……。しかも、飴と鞭を使い分けて女性を依存させるため、彼女側も「彼を怒らせる私が悪い」と洗脳されます。
その結果、どんなにひどい扱いや理不尽な仕打ちを受けようとも、彼から離れることができません。
モラハラやパワハラの被害にあったときの対処法
つらいモラハラやパワハラ被害にあった場合、どのように対処するのが適切であるか。独りで抱え込んで耐えようとせず、しっかりと自分を守りましょう。
証拠を揃える
あまりにもひどいモラハラ・パワハラに対し、法的手段も視野に入れる場合、証拠を集めておくことが重要になってきます。
加害者は「そのようなことはしていない」と、事のすべてをなかったことにする可能性も考えられますし、社内でもみ消されることも充分に考えられるでしょう。
相手の声を録音し、同時に「〇月〇日に何をされた」という記録もつけておくこと。脅迫メールやLINEなども、れっきとした証拠。消さずに残しておきましょう。
信頼できる人に相談する
モラハラやパワハラの被害に遭った時、それを独りで抱え込むのは禁物。相手の卑劣な行為を受け入れることになるため、現状はより悪化するでしょう。
そこに孤独感も手伝って、心身共に壊れるのも時間の問題となります。できれば信頼できる人に相談し、一緒に解決策を探してもらうこと。
また、話を聞いてもらうことで、精神的苦痛も少し軽減させることができます。職場であれば、モラハラ・パワハラ加害者より上の立場の人に相談することをおすすめします。
逃げるという手段も時に必要
意図的な嫌がらせをしてくる相手からは、徹底的な距離を置くこと。仕事などでどうしても接触を避けられない場合は、最低限の業務連絡にとどめておきましょう。
またモラハラ・パワハラが横行している職場は、おそらく従業員の退職が後を絶たないでしょう。心身ともに壊れてしまう前に、転職を考えるということも対策の1つです。
専門機関に相談する
社内でモラハラ、パワハラの解決が難しいようであれば、労働問題を取り扱う専門機関に相談しましょう。無料で相談でき、秘密厳守を約束してくれます。
「このぐらいのことで相談?」と抵抗を感じるかもしれませんが、放置しているうちにエスカレートする可能性もあります。
また、取り返しのつかないことになってからは、あまりにも失うものが多いということを覚えておきましょう。
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナー」
まとめ
モラハラやパワハラは、決して許されるものではありません。「無理に頑張る」「ひたすら耐える」といったことの先に、良い未来は期待できません。
モラハラやパワハラの定義を理解し、しっかりと対策をとって自分を守ること。勇気を出して、信頼できる人や法的機関に相談することも大切です。